2017年 リュック・ベッソン監督 スターウォーズより前からあったフランスの漫画の映画化。ベッソン監督がずっと温めていたことが実現した映画です。ヴァレリアン 千の惑星の救世主(字幕版)
あらすじ
28世紀、巨大な宇宙ステーションアルファには千を超える種族が、様々な能力を生かし、文明を発達させながら共存していた。しかしあまりにも質量が大きくなり、アルファは外宇宙へと放出されていた。
連邦捜査官ヴァレリアンとローレリーヌは任務で惑星キリアンに向かう。その途中でヴァレリアンは惑星ミールに住む人間によく似た種族が、巨大な宇宙船の墜落で滅亡するというリアルな夢を見た。実はその夢は30年前に現実に起きたことだったが、歴史の記録には残っていなかった。
惑星キリアンについたヴァレリアンたちは、小型生物の姿をした、宇宙に一つしか残っていないという「変換器」と「真珠」を何とか手に入れる。しかしそれは、ヴァレリアンのリアルな夢と無関係ではなかった。
相棒のローレリーヌにプロポーズし、断られてしまうヴァレリアンだったが、そんな彼らが「変換器」である生物をアルファに持ち帰った直後、記録にない種族の「何者か」がアルファに侵入する・・
感想
デビット・ボウイの「SPACE・ODDITY」で始まる、かなり洒落たSFだと思うのですが、テンポもいいし、ヴァレリアン役のデイン・デハーンもかっこいいし、素晴らしいCGだし、ヒットする要素がたっぷりなのですが、世界的に興業は大失敗。なんでかなあ。
まあ確かにもうSFはブームではないし、スターウォーズだけは中年以上に人に愛されているけれど、新たなSFに手を付けようとはしないのでしょうね。私もスクリーンでは観なかったですから。
でも、この作品はかなりのレベルの仕上がりだと思います。ただ、最初の30分が退屈。それから最後の30分がありきたり。
それだけを聞けば駄作の条件がそろっているみたいですが、そうじゃない。
何かあるのです。でも何だろう。
それはベッソン監督の並々ならぬ原作への愛が、作品にあふれているからなのでしょうか。はっきりと掴みどころがない、不思議な魅力がある作品です。「フィフスエレメント」とはまた違う、もっと優しい何かがあるような。
むちゃくちゃ未来の話なのに、いろいろな種族がすべて「心」を持っている。自分勝手もいれば暖かい心の持ち主も。そうであってほしいという願望がこめられているのでしょうか。
少年のような顔のヴァレリアンが「連邦捜査官だ」というシーンから以降、ピンと張ったような流れに変わったこの映画。最初からこの調子で作ればよかったのに。
それでも、ああやっぱりSFはいいな、と思い出した瞬間ではありました。