2001年 フランス映画。オドレイ・トトゥの出世作。赤と緑を基調にした美術装飾が斬新でかわいい。
あらすじ
神経質な両親の元で育ち、空想の中で遊ぶのとこっそり悪戯するのが得意になったアメリ(オドレイ・トトゥ)。
22歳になり、モンマルトルのカフェで働く彼女は、青年ニノに出会って心ときめくが、どうしたらいいか分からず悪戯を仕掛ける。映画.com
感想
天然ともいえる主人公のアメリのちょっと奇異な行動と、明るい人々しか出てこないようなパリ・モンマルトル。
映画全体に流れるゆったりとしたテンポと、アート作品のような色使いのインテリア。すべてが新しく思えて、2001年のこのときは唖然としたものです。
アメリカではなくフランスだったからこそ、SFやファンタジーにはならず、「アメリ」の登場は1つのジャンルを確立したかのようでした。
そして私がもう一つ驚きなのは、登場人物たちがほぼ中流ではないということ。まったく売れない小説家や、異常に体の弱いウエイトレス、ほとんど仕事をしていない男性・・ しかし彼らはそのことを全く気にする様子は無く、毎日カフェでお茶を飲み、何かを語らう日々を送っています。
まるでこの映画の中の世界では、「貧富の差よる不幸」や、「人を陥れる悪人たち」は存在しないかのようです。
だから、話の本筋はいらいらするような恋愛ドラマであっても、映画を観終わったあと心がなんとなく軽くなっているのを感じてしまいます。
それは、現実世界で起きているくだらない悩ましいこと達が、ほんとうにそれは「くだらないんだなあ」と気づかせられるから。つまりこの映画は、そんなふうに名作なのです。