2010年公開。三池崇史監督。なかなかいい映画だったのですが、ところどころグロテスク過ぎて感想がまとまるのに年月がかかりました。
あらすじ
時代は江戸後期。将軍の弟にあたる明石藩主松平斉韶(稲垣吾郎)は異常な性格で残虐なふるまいを繰り返していた。
そのことを、明石藩の江戸家老は老中の土井大炊頭(平幹二郎)の屋敷の前で切腹して身を持って訴えたが、将軍の意向により斉韶は特にお咎めなしとなる。
しかし松平斉韶は次期の老中となることが決まっていたため、事を重く見た土井大炊頭は、松平斉韶の暗殺を決意する。
土井は御目付役の島田新左衛門(役所広司)にすべてを託す。新左衛門は甥の島田新六郎(山田孝之)や友人の倉永左平太(松方弘樹)などの刺客を集め、暗殺の計画を練る。
新左衛門はかつて斉韶に息子と嫁を惨殺された尾張藩の牧野(松本幸四郎)の協力を得て、十三人の刺客とともに、参勤交代の途中の中山道落合宿で斉韶一行を待ち伏せして討つことを決めた・・。
感想
中山道落合宿での13人と斉韶一行200人との大決闘のシーンは、2億かけて作った東京ドーム20個分の宿場町のセットで撮影されています。。
確かに迫力あるシーンが展開しました。さまざまな仕掛けのある宿場町の砦で、最初は気持ちいいほど刺客のほうが優勢なのですが、200人との斬り合いが泥沼化してくると、血まみれの画面ばかりになってきて、こちらもくたくたになってしまいました。
このときの気持ちの疲れがずっと尾を引いて、この映画の感想がなかなか文章にできなかったと言えます。
ストーリーはなかなかしっかりしているし、セットもすごい。なにより俳優さんたちがサムライ言葉で頑張って熱演している。
その中でも山田孝之が演技が上手いことを再認識。稲垣吾郎も怪演が話題になりました。
こういう良い材料もあったのに、最後の決闘シーンの紅い色と、斉韶が行う残虐ことだけが印象に残り、それらが映画の印象のすべてとなってしまいました。
もう少しシンプルに作っていたら、素晴らしい娯楽作品と言われたことでしょう。もっとたくさん映画賞を取ったかもしれない。
でも三池監督は「ヒットしそうな映画ばかり作る傾向に逆らいたい」と仰ったとか。確かにただのチャンバラ映画ではありません。
監督が作りたい映画をつくられたんだろうな、ということは大いに感じられた作品でした。