2015年 フランス映画。アメリカ映画には無い、自由さがあふれています。感動して、ほっこりします。見逃してはいけない1作だと思います。
あらすじ
フランスの田舎町に暮らすペリエ家は、高校生のポーラ以外、全員聴覚障害者だったが、とにかく明るい両親のもと、幸せな毎日を送っていた。ある日ポーラは音楽教師にパリの音楽学校への進学を勧められる。
しかしポーラの歌を聴くことができない家族は、ポーラの才能を信じることができない。ポーラはいったんはあきらめようとするが、しかしポーラの歌声は人々を魅了するような素晴らしいものだった・・。
感想
ポーラの役は、オーディション番組で注目された新人のルアンヌ・エメラという人です。歌声がきちんと披露されるのは後半のクライマックスになるのですが、お待たせしました、とばかりに朗々と歌い上げます。ちょっと気を持たせ過ぎだな、というきらいがあり、感動がちょっと薄れたかも。
しかしこの作品は見ておかなくてはいけない作品の1つになると思います。聴覚障害の人の暮らし、子どもの自立・旅立ち、そして何より、フランスという国の自由な映画世界。
日本映画は今、ほぼアメリカ映画の作り方のコピーなんだな、とこの時感じました。ただ、それが一番見ていて落ち着くし、それこそが映画を見る目的なので、この映画のせわしないカメラワークやセリフが「どうも受け入れられない」という人が居そうな気もします。
ですが、人間の暮らしをどう切り取るか、どう表現するか、その型はそもそも決められていないはずなので、「エール!」を見始めて最初に思ったこと、それは「私は保守的に生きてるなあ」ということでした。
ポーラは自分の歌がだれよりも素晴らしいことに、少しづつ気付いていきます。そして一度はあきらめかけた夢を、やっぱりかなえたいと思うようになります。
現実にはどうなのでしょう。親子・夫婦がそれぞれに自分の考えを相手にわかってもらえるように、話し合ったり努力をしても、なかなかこのようにうまくはいきません。
こんなふうにできたらいいな、と自分に投影してみて思い直す映画となりました。
そして、フランス映画。いいですね。すべてが自然で自由です。
映画の主題とは関係なく、自由に生きることへのあこがれを抱いてしまった作品でした。