2019年 日本での公開は2023年12月。A24、またやってくれました。ミッド・サマー、ザ・ホエールなど数えきれないエッジーと言われる作品を送り出してきたA24。スタンダードなスクリーンに映し出される自然光の映像はある意味とても先鋭的でした。
あらすじ
西部開拓時代のオレゴン州。アメリカンドリームを求めて未開の地へ移住した料理人クッキーと中国人移民キング・ルーは意気投合し、ある大胆な計画を思いつく。
それは、この地に初めてやってきた“富の象徴”である牛からミルクを盗み、ドーナツをつくって一獲千金を狙うというビジネスだった。映画com.
感想
ただし、とにかく最初の30分は眠たい。つまらないのではなく、いい意味で癒されて眠たくなるのです。
1820年代の未開拓のオレゴンの、鬱蒼とした森の中で、クッキーとキング・ルーは出会います。
この時代のアメリカの貧しさと、それでも前を向いている男たちの逞しさ。ほぼ自然光と思われるスタンダードサイズのスクリーンの映像や、懐かしいような耳に残る曲の調べは、日ごろのもろもろのストレスを抱えた脳髄をとめども無く癒し・・そして眠たくなってきます。
その30分を過ぎるとようやく物語は動き始めますので、どうかここまで我慢してください。
正直で真面目な料理人クッキーと、壮大な夢を語る中国系移民のキング・ルーは、やさしい友情で結ばれていきます。2人にどんな半生があったのか想像でしかありませんが、初めて心が通じ合えた同士のようです。
さて、乳牛をめぐってドラマは展開していきます。もうここからは眠たくありません。2人の運命はどうなるのか、ハラハラしながらラストに向かいます。
冒頭のシーンとラストのシーンは見事に繋がっていますので、最初から寝ていた人は、何のことやら?かもしれません。
不思議なことにこの映画。鑑賞してから10日ぐらい経って、ようやくその良さが染みてきます。
そしてもう一度観たくなります。ジム・ジャームッシュに「真の傑作」と言わしめた所以が、きっとどこかにあるのでしょう。
帰りにドーナツを買って帰りました。