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『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』映画のあらすじ&感想:ダニエル・デイ=ルイスに圧倒される

2007年 ポール・トーマス・アンダーソン監督の最高傑作と言われています。ダニエル・デイ=ルイスは2度目のアカデミー賞受賞。このあと3回目を「リンカーン」で受賞します。

あらすじ

1900年代初頭、ダニエル・プレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)は一人で荒涼とした大地を掘削していた。来る日も来る日も硬い岩盤を掘る日々。やがてある日、油が染み出てくる場所に到達した。

幼い息子を抱え、油井を掘り当て、商売を拡大していくダニエル。彼の金儲けへ執着心は、やがて少しづく歯車を狂わせることになる・・。

感想

なんといってもダニエル・デイ=ルイス。圧倒的と言っていい存在感。映画は全編彼が支配していました。そう、支配していたのです。

そのどうしようもない迫力に対して、やはりアカデミーは主演男優賞を与えました。こんなすごい存在感、放っておくわけにいかないでしょう。

ストーリーは山師が油田を探し当て、大成功していく話。単純といえばそうですが、実際まったく単純ではない。

油井の場所を探し当てるまでの最初の数十分間、まったくセリフなし。これによって、その仕事の厳しさがヒシヒシ伝わり、その後の展開に重みをもたせることに成功しています。

またダニエル・デイ=ルイスの役作りの凄さ。ここまでやれるか、という域に達しています。3度受賞したアカデミー賞の2回目の作品。ダニエル・デイ=ルイスにとっても最高の作品と言ってよく、さらにポール・トーマス・アンダーソンにとっても、この作品が最高傑作ではないかとされています。

見渡す限りの荒れ地だったアメリカの大地を、男たちが怒涛のように強く豊かな国にしているさまは、そこにアメリカ人の誇りと情熱が入り混じっているように思え、物語の推移からまったく目が離すことができません。

実際の石油王がモデルと言われているこの作品。旧約聖書の出エジプト記の言葉「いずれ血に染まる」が納得できるラストになっています。少しだけあっけないなとは思いますが。