1993年 ジェレミー・アイアンズ、メリル・ストリープ。豪華すぎる俳優陣による壮大なドラマ。焦点が絞られていないのが残念。
あらすじ
1928年 南米の某国で富豪のデル家のパーティーが行われていた。しかしその席で政界に進出する父親の身代わりとなって長女のローザが毒殺される。
予知能力のある妹のクララは姉を助けられなかったショックでその日から話をしなくなった。しかし、想いを寄せていた、姉の元婚約者であるエステバン(ジェレミー・アイアンズ)と再会し、クララ(メリル・ストリープ)は心を開く。
クララとエステバンは結婚し、郊外の農場に建てた屋敷に暮らし始める。愛も、多難な将来もこの家の中にあるのだった・・。
感想
ジェレミー・アイアンズはまだこのとき45歳。青年から老人までをごく自然に演じています。メリル・ストリープも同年輩の彼よりずっと年下の役をさらりと演っていました。
この他、ほんとうに豪華な俳優陣によるベストセラー小説の映画化ですが、評判はなぜかはかばかしくありません。
おおむねいい映画なのですが、何がいけないのか。
おそらくですが、あまりにも長い年月を描いた大河ドラマなので、ストーリーの軸になるものが絞り込めなかったことが要因ではないかと思います。
エステバンは若い頃には野心的でエネルギーが溢れる人物。そのため近くにいる女性たちには勝手な行動を取ってしまうことも。そしてそれによって様々な事件が起きて行きます。
愛情の行き違いによって不幸になっていく家族たち。ストーリーが、出来事を時系列で追って行くことに忙しく、クララの心に住む精霊について言及する暇があまりなかったことが敗因でしょう。
それはつまり、この物語の根本が語られなかったに等しいと言えるのです。
あれだけのお金のかかった仕掛け、俳優陣、長々とした脚本の果てに、「さて、何が言いたかったのかな」とふと気づいてしまう観客。
これは時代ロマンであって、精霊はどうでもよかったかな、とそういう結論に最後はなってしまうような気がします。長いお話というのは、かくも難しいものですね。