「アベンジャーズ」みたいな映画の対極にあるような作品です。たんたんと綴られる物語。ゆっくりと展開するお話を見ながら、自分自身を投影してしまいます。
あらすじ
北海道の田舎町で、山中に放置された自動車から、中年の男性とその飼い犬の遺体が発見される。
市役所に勤務する奥津は、わずかに残された遺品から、遺体の人物がどこから来て、どういう人生を歩み、この土地で亡くなったのかを辿っていくことになった。
失業、一家離散を経て、ホームレスとなった男性が愛犬ハッピーと旅に出た経緯が明らかになっていく・・。
感想
人生って、人が生きることって、どんなに一生懸命でも、思うようにはならないもの。そしてもし、そばにいてくれる大切な存在があったら、思うようにならない人生でも、幸せだったと感じることができるのかしら。
それはこの映画の中のハッピーというフサフサの秋田犬のように。
映画というのは時に自分のことを投影しながら見るものですが、この映画はいろんな意味で考えさせられました。「生きること」はたいへんです。
ハッピーが飼い主の西田敏行に向かって、「置いて行かないで」と吠えるシーン。おそらく動物好きな方なら号泣されているでしょう。西田さんの演技もほんとうに素晴らしかったです。
ストーリーとしては、もう少しこうだったら、と思える部分もありますが、作者の伝えたいものは十分伝わりました。日本映画の良さが詰まったような作品だと思いました。