あのとき見逃した映画は名作だったかもしれない
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ヒューマンドラマ

『グリーンマイル』映画のあらすじ&感想

1999年 スティーブン・キング原作。トム・ハンクス主演。ホラーではないスティーブン・キングの作品はなぜこんなにも心にしみるものばかりなのでしょう。

あらすじ

1932年 刑務所の死刑囚監房で看守主任を務めるポールのもとに、双子の少女を殺害した大男のジョン・コーフィが収監された。グリ-ンマイルとは、電気椅子の部屋までの床が緑色だったため、通称グリーンマイルと看守達が呼んでいたもの。

1人1人ここを通って死刑になっていくのを見送るのがポールたちの仕事だった。

あるときコーフィはポールが重度の尿路感染症に侵されているのに気づき、ポールを引き寄せ局部に触れた。すると近くの照明が急に明るくなり、そのあとコーフィは口から大量の黒い虫のようなものを吐き出した。

不思議なことにこの瞬間からポールは何事もなく治ってしまった。その後も瀕死のネズミの命を救ったり、コーフィには天から与えられた力があることを看守たちは知った。

同時に、このような人物が恐ろしい罪を犯すだろうか、冤罪ではないかとポールたちは思うのだった・・。

感想

スティーブン・キングと言えば、「キャリー」や「シャイニング」などのホラー小説があまりにも有名ですが、ホラーではない小説は胸がキュンとするものが多いようです。

この「グリーンマイル」のほかにも、「ショーシャンクの空に」や「スタンド・バイ・ミー」は映画史に残る名作であり、そのストーリーは胸を打つものばかり。

グリーンマイルの見どころは、何といってもトム・ハンクスの演技で、彼の力でただのファンタジーではなく切ないヒューマンドラマに押し上げているところでしょう。

犯人とされている黒人のジョン・コーフィは、いったん死刑を言い渡されたら覆すことができないことがわかっており、こんな世の中に別れを告げるように死刑を受け入れます。

もっとポールたちが無実を強く主張してもいいのに、と思わなくもなかったですが。

しかし時代は1930年代。これしかなかったのかと悔しい思いで悲しいラストへ。ひどい人種差別と冤罪。100年近く経ってもこの問題は終わっていないのではないかと暗澹たる思いになりつつも、トム・ハンクス扮するポールの善良な涙で、その気持ちが少しずつ払拭されていきました。

アメリカ映画らしく悪い奴らが一網打尽になったのもすっきり。その中の一人が若かりしサム・ロックウェル。この時からすでに怪優ぶりを発揮しています。

大人のファンタジーのような掌編小説が、いろいろ考えさせられる大作として完成したグリーンマイル。20世紀末を締めくくるにふさわしい名作と言えるでしょう。