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『マザーウォーター』映画のあらすじ&感想

2010年 小林聡美主演。京都を舞台に、それぞれの日々の暮らしが淡々と綴られます。

あらすじ

京都でウイスキーしかないバーを営んでいるセツコ(小林聡美)。常連の家具職人のヤマノハ(加瀬亮)が、壊れたアンティークの椅子を直してくれた。

同じ町内にある豆腐屋を営むハツミ(市川実日子)の店にやってきた老女のマコト(もたいまさこ)が、店先で座って豆腐をいただくようになり、それ以来そういうお客が増えていった。

近くのコーヒーショップの店主タカコ(小泉今日子)もいつしか知り合いになり、銭湯の幼児ポプラの世話を交代でするようになる・・。




ネタバレ感想

京都が舞台なのに、通りすがりの人以外、誰も京都弁を話しません。よそ者と言う設定なのか、フランスなのに英語で話す映画のようなものなのか、それは不明ですが、そこは大した問題ではありません。

驚くほど何も起こらない物語。ただ静かに日々の暮らしとひとびとの交流が描かれていくだけですが、なぜか心に残る映画。ロケ地巡りをするファンも多いとか。

3人の女性と1人の老女はしっかりと地に足をつけています。過去に何があったかは語られませんが、今はしっかりと歩いているということが、豆腐をすくう手つきや、水割りのつくり方、コーヒーの淹れ方、そして老女が独り暮らしなのにちゃんと出し巻きなどを作り膳を整えて食事している描写などから、しっかり伝わってきます。それを伝える映画なのでしょう。

はじめは生き方に迷っていた銭湯の店主のオトメ(光石研)やバイトのジン(永山絢斗)も、だんだんと最後には地に足がついてきます。

彼らをつないだのはポプラちゃんと老女のマコトです。3人の女性たちは最後の会話で「前に住んでいた町へ行ってみよう」ということになります。また前に一歩踏み出したのですね。

ラストではずっとどこかにいっていたポプラちゃんの母親とおぼしき人が迎えに来て(声だけ)、物語は終わります。誰もが一歩前に踏み出したのだ、という暗示の終わり方でした。

この映画が京都の観光案内ではないのだということは確かです。どこかの町の自分自身がちゃんと毎日を生きているだろうか、と老女に見透かされないように、頑張ろうかなと思います。