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『蜂蜜と遠雷』映画のあらすじ&感想/話題作でしたが

2019年公開 松岡茉優主演 原作:恩田陸(第156回直木賞受賞) 映画を観ただけで原作の小説がどんなに素晴らしかったかが漏れて伝わってきました。残念ながら映画はまったく追いついていませんでしたが。

あらすじ

日本で行われる権威ある国際ピアノコンクールにこの4人もエントリーしていた。

天才少女と呼ばれCDも出していた亜夜(松岡茉優)は13歳の時に母親を失くしてから突然ピアノを弾けなくなりその後姿を消していた。

フランスで養蜂業の父と旅をしていたがユウジ・フォン=ホフマンに見出されピアニストを目指している塵(鈴鹿央士)。

日系ペルー人とフランス貴族の血を引くマサル(森崎ウィン)。ジュリアード音楽院の王子様と呼ばれすでに女性に人気。

音大出身でかつてはコンクール入賞もしたがサラリーマンで家族もいる明石(松坂桃李)。生活者の音楽があるという思いでピアノは続けていた。

コンクールの1次予選から最終選考まで、亜夜を中心にそれぞれの人間模様が描かれる。

感想

恩田陸さんの「蜂蜜と遠雷」から引用します。

「一握りの光を浴びてる音楽家の素晴らしさが余計際立つ 挫折していった多くの音楽家たちが陰に累々といることを知っているからますます音楽は美しい」

なんとリズミカルな文体でしょう。誰かがタクトを振っているような、抑揚のある文章。それでいて端的で、その先に何があるのだろうと思わせる。

このリズム感が映画にはゼロに近かった。間が悪いなと思えるシーンが多いなと思いました。

ただし、演奏は素晴らしかった。最高峰のピアニストの方たちが演奏したそうですが、この素晴らしい演奏がせっかくあるのに・・と思います。

ネガティブなところを挙げるとキリがないですが、いいところもありました。

たとえば松岡茉優さんの演奏しているフリが非常にうまいこと。

いい俳優さんも出ていてところどころ響くセリフもあったこと。

映画が終わった後、「音楽って素晴らしいんだな。そして音楽の世界ってすごいんだな」と思えたこと。

原作が読みたくなったことなどです。

白鍵と黒鍵のような蜂たちが作り出す芳醇な蜂蜜と遠くで鳴っている遠雷。この詩的なイメージと、「ハチミツトエンライ」という言葉の響きに誘われて、「観てしまった」映画でした。