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『パラサイト 半地下の家族』映画のあらすじ&感想

2020年公開。アカデミー作品賞、監督賞、脚本賞、外国語映画賞、カンヌ映画祭パルムドール(最高賞)を受賞しました。

あらすじ

ビルの半地下の部屋に住む、キム家の家族は全員失業していた。上の階のwi-fiでスマホを使い、ピザの箱の組み立ての内職でなんとか暮らしていた。

そんなある日、浪人生の長男のギウは、名門大学に通う友人のミニョクに頼まれ、自分が留学する間、家庭教師のバイトを代わることになった。

そこは上流階級が住む、素晴らしい邸宅。キム家の人々にとって雲の上のような人たちが住んでいた。

ギウは一計を案じ、妹のギジョンを有名な美術の家庭教師として潜り込ませることに成功する。次に主人のお抱え運転手を陥れて辞めさせ、代わりに父のギテクをベテラン運転手ということにして紹介した。

さらに住み込みのお手伝いの女性をうまく辞めさせ、母のチュンスクを採用させる。むろん、4人が親子であることはいっさい明かさず。

主人の一家がキャンプに出掛けた夜、キム家の4人は大邸宅のリビングで酒盛りする。高級な酒を勝手に飲み、いい気分の4人。しかし4人には想像を絶する危機が迫っていた・・

感想

格差。日本にも、世界中にもある格差。この言葉を聞くと悲しい気持ちになります。自分たちの力ではどうにもならないこともある・・それが格差です。

住みたくて半地下の家に住んでいるわけではない。丘の上の陽の当たる広い庭のある家に誰だって住みたいと思っている。

これが自分たちの人生、とあきらめてはいても、もしも目の前に大豪邸に住む人が現れ、そしてその優雅な生活を目の前で見てしまったら、人の心には何かが芽生えてしまうかもしれません。

貧乏な半地下の家でも、とても仲の良い家族だったキム一家。失業していても、子供たちはお父さんのことを責めたりしません。お父さんに対する礼節を欠くことが無いのです。

ですがその絆が強いがために、家族は一丸となって深い谷底へと落ちていくことになりました。

展開が予測できない、ハラハラする場面もあり、笑えるシーンもあり、考えさせられることも多くあり、とてもいい映画だと思いました。

だけどこのあとこの映画は「アカデミー賞を受賞した映画だ」という思いをもって観られるわけで、それは非常に重いものを背負ってしまった感じです。

広く人々に知られ、名作だと認知していただくのもいいことなのでしょうが、ただ、作品はガラスケースに入れられ高いところに置かれたようで、素直な眼で鑑賞することができなくなってしまったように思います。

賞なんか取らないほうが、名作は生きるのかもしれません。

さて、韓国映画がこのような快挙を成し遂げたことで、「日本映画は何してる」という空気が蔓延してしまいました。確かにその通りですね。いい映画もあるのですが、そうでもない映画でも何故かヒットしますからね。

しかしアジアの映画が母国語のままアカデミー賞を受賞したということは、本当にうれしいことです。そして希望を与えてくれた出来事です。

つぎは日本映画の番ですね。


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