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『メアリーの総て』映画のあらすじ&感想

2017年公開。「フランケンシュタイン」を生み出した19世紀初頭の女流小説家メアリー・シェリーを描いています。でも怪物は出てきません。残念ながら。メアリーの総て(字幕版)

あらすじ

19世紀のイギリス。文筆家で無政府主義者の父ウイリアム・ゴドウィンと女権論者で文筆家のウルストンクラフトとの間に主人公のメアリー(エル・ファニング)は生まれた。

母の死後、メアリーの心のやすらぎは静かな墓場で怪奇な物語を読み、また小説家を夢見ることだった。

若いメアリーはある時知り合った詩人のパーシー・シェリーと恋に落ちる。妻子あるパーシーとの恋は父親たちに反対されるが2人は駆け落ち同然で町を出る。そしてメアリーを慕っていた義妹のクレアも一緒についてきた。

売れっ子の詩人で裕福なはずのパーシーだったが、実は見せかけだった。臨時収入が入ると無駄遣いし、破産寸前になって町を出るという生活。生まれて間もない長男も亡くしてしまい、メアリーは失意のどん底だった。

そんなある日、シェリーの親友である詩人のバイロン卿の別荘に招かれた。退廃的な暮らしをするバイロンだったが、彼が話す言葉は新しく刺激的で、永くメアリーの中に眠っていた、物書きになりたいという夢を思い出させた。

別荘の滞在中、バイロンは提案する。「みんなで1つずつ怪奇譚を書いてみようじゃないか。」

感想

そうしてその後その怪奇譚「フランケンシュタイン」は出版されることになります。ただし、作者は匿名で、夫のパーシー・シェリーの序文つき、という条件でした。

女性が何もできない時代だったのですね。しかも怪奇な小説など、18歳の若い女性が書くなんて、ということでしょうね。

「フランケンシュタイン」は、今では世界で一番知られている不気味なクリーチャーです。

その原作者であるメアリー・シェリーを描いた作品、とあって、これはきっとぞーッとするシーンも満載に違いないと期待して見ていたら、フランケンについては原作の文章が引用されているのみで、まったく登場無しでした。

いやわかってはいました。クリーチャーがそんなに出てきたら映画がぶち壊しで、怪人の苦悩を表す文章の引用のみになるのが当然と。

でもでも、それでももしかしたら、一瞬でもフランケンの姿が登場し、うまく映画の重みを増す効果を出していたら・・

若く美しいエル・ファニングの魅力だけに頼らない、イケメン俳優たちだけに頼らない、作家メアリーの誕生が感動に繋がるような演出になりはしなかったでしょうか。

というのは、終わってみると、ただの女性作家の物語だなあ、と中ぐらいの感動しかなかったからです。

メアリー・シェリーは怪人のフランケンを、墓場で着想したんじゃないの? そこのところを突っ込めなかったかなあ。これ期待していただけに、その残念度はけっこう高いです。


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