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『素晴らしきかな、人生』映画のあらすじ&感想/感動作なのに邦題が良くない

2016年公開 原題:Collateral Beauty 字幕を訳した人の意図がよくわかりません。詳細が理解できず残念です。日本のポスターは赤いリボンがついたりして、作品の主題とはかけはなれています。米国版にはリボンはありません。

あらすじ

IT企業の代表として、社員たちに生き生きとスピーチしていたハワード(ウィル・スミス)。しかし3年後、見る影も無くやつれて気力を失った彼がいた。2年前、愛する娘を6歳で亡くしたことでハワードは別人のようになってしまい、毎日仕事もせずオフィスでドミノを並べては倒すのを繰り返していた。

やがて会社の業績が悪化し、会社を救うために合併の話が出るが、ハワードは上の空。苦楽を共にしてきた親友の社員たちは会社を救い、ハワードも立ち直らせるため、名案を思い付く。

ハワードが出した手紙の宛名が届くことのない、「死」「愛」「時間」宛だったことを知り、それぞれを俳優に演じさせ、
ハワードのもとに現れるように仕向ける。ハワードが興奮して話す様子の動画を撮り、それを証拠にしてハワードを代表の座から追い落すという計画だった・・。

感想

一見、昔の映画のリメイクか?という題ですが、そうではありません。この邦題にはクレームが続出していたみたい。そりゃそうですね。原題は「Collateral Beauty」 二次的に広がっていく幸せのおまけ、みたいな意味。どうやらそれだけでなく、複雑な意味があり、映画の伏線と絡み合っているようです。

しかしいちばん良くないのがキャッチコピーやポスターを含む宣伝と、英語の台詞をちゃんとうまく訳せていない、いや訳せているけど、伝えきれていないこと。

この映画は現代の寓話です。そしてとてもとても深い物語。映画の最後に明かされる感動のシーン。ですがなんか謎が残るし、肝心かなめの「Collateral Beauty」が「幸せのおまけ」と訳されただけでは、なんのことやらわからない。

英語のわかるひと(つまりアメリカ人)には苦も無く理解できる、映画のストーリーの詳細が、私たちにはわからない。こんなくやしいことありません。

いったい何なんですか、おまけって。

実は冒頭のシーンのドミノも、二次的に広がっていくものっていう意味で繋がっているようだし、「素晴らしき哉、人生」という昔の映画とまったく関係ないかと言えばそうでなく、物語の中でヘレン・ミレンの台詞に「素晴らしき哉、人生」が出てきました。

字幕で理解するには限界があると思い知らされた作品でした。

愛する娘を亡くしたハワードは、最後に自分を取り戻します。クリスマスのマンハッタンを舞台に、美しい物語が展開しました。そうそうたる俳優さんたちが、名演技をしていたのに、よく意味が分からなかった、残念な、それでも良い映画だったと思える作品でした。

最後にこれは米国でのもうひとつのポスター。そうです、こんなかんじの映画なんです。みんな繋がっていて、それぞれの事情がある中の、幸せのかけらが呼応するように広がっていくような・・そんなストーリーでした。