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『ダージリン急行』映画のあらすじ&感想/グランド・ブダペストホテルの7年前の作品

2007年 ウェス・アンダーソン監督 名作が生まれる前のマグマがフツフツしているような作品。

あらすじ

父の死がきっかけで疎遠になっていたホイットマン3兄弟だったが、長男フランシス(オーウェン・ウイルソン)の呼びかけで次男ピーター(エイドリアン・ブロディ)、三男ジャックの3人が揃い、インド横断の列車旅行に出る。

しかし、そんな彼らには予想外の出来事が待ち受けていて……。映画com.

感想

もちろん、ウェス・アンダーソン作品の持つ特色は十分備えていて、ワクワクしながらも落ち着ける場所であることは間違いありません。

インドを縦断する急行列車、という異文化の地を走る空間の中で起きる、インドならではの極彩色で面白いエピソードに、観客はどんどんハマっていきます。そのスピード感と空気感は独特で、私自身はこの頃の作品が好きです。

ただしかし、何しろ言いたいことが良くわからない部分が残る。それ自体はそれでいいのですが、わからない部分を埋める余韻のようにインドの情景を使ってほしかった。そのため最後まで迫力不足で終わっています。

それでもきっとこの映画を直感的に好きな人は多いと思う。これぞウェス・アンダーソンだ思える作品ではありますので。

ラストシーンの「オー・シャンジェリゼ」が流れた瞬間はやったな!と心で拍手。ただ何が伝わったかというと、それは綺麗に装飾された空っぽの容器のように、何が入っていたのかわからないままでした。

それにしても美しいインドの風景や暮らし。(これは完全に欧米から見たインドの色ですが)

雰囲気だけでも好きになれる映画と言えるでしょう。エイドリアン・ブロディの表情が光ります。何か決めゼリフを言ってほしかったのが心残り。