2020年 石橋蓮司主演。これはいい作品。ただ、題でネタバレしないほうが良かったですね。
あらすじ
ハードボイルドを気取る小説家の市川進(石橋蓮司)。まったく原稿が採用されない時代遅れの作家である市川には伝説の殺し屋・サイレントキラーというもう1つの顔があった。
しかし、彼は一度も人を撃ったことがなく、旧友である石田(岸部一徳)から依頼を受け、標的の行動をリサーチするだけだった。
しかし、石田が中国系のヒットマン(豊川悦司)から命を狙われたことから、市川にも身の危険が迫る。
感想
これは「題」以外、凝りに凝った映画です。
惜しみなく出て来る有名俳優のわき役たち。妻夫木聡、豊川悦司、佐藤浩市、井上真央・・
夜の酒場のシーンの照明も音楽もディープなこと。シェイカーのシーンの音までが、入ってはいけない夜の大人の世界を醸し出しています。
そして80歳の石橋蓮司がかっこいい。彼のセリフは一つ一つに余韻があります。大楠道代、桃井かおり、岸部一徳、みんなかなりの年配ですがそんなことはどうでもよくなる。大人の演技は間違いなく上手く、どんどん話に引き込まれていきました。
脇役・ちょい役で出て来る大物俳優たちも、このディープな世界の中で演技を楽しんでいるように見えました。
もう少し、クライマックスのあとの締めのところで何かひとひねりあったらなと思ってしまうのは欲張りでしょうか。なぜならこの作品、マイナーなままで終わらせたくないぐらい、かなりいい作品だと思ったから。
でももしかしたら、これはこれで、知られざる傑作としてハードボイルド通をうならせ続けるのかもしれませんが。それもまた、映画としてはいい存在意義かもしれないです。
「y」というお店のロゴは亡き原田芳雄さんがデザインしたものらしい。いつのまにか原田さんが店の奥にスッと座っていそうな、そんな映画でした。