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『千年女優』映画のあらすじ&感想/夭折した天才今敏監督

2002年 今敏監督。今だからこそ理解される優れた表現。声優さんもいい仕事をしています。

あらすじ

小さな映像制作会社の社長・立花は、かつて一世を風靡した昭和の大女優・藤原千代子のドキュメンタリーを作るため、人里離れた千代子の邸宅を訪れる。

30年前に突如として銀幕から姿を消し、隠遁生活を送っていた千代子は、立花が持参した1本の鍵を見て、思い出を語りはじめる。

千代子の語りは、いつしか現実と映画のエピソードが渾然一体となり、波乱万丈の物語へと発展していく。

感想

46歳の若さで亡くなった天才・今敏。虚構と現実を行き来するような表現は、今でも斬新です。

netflixで公開されると、ものすごい反響だとのこと。確かにこの作品は、アニメにできる表現の中でも、アニメにしかできないことに特化しています。

思い出を語り始めた千代子が、いつの間にか過去の姿になっていて、現代の立花たちも時空を超えてそこにいる・・

説明するとわかりづらいですが、アニメはするっと現わしてしまう。アニメにできることがよくわかっていたと言えます。

ただそれでも2002年当時にはあまり理解されなかっただろうなと察します。今、ようやく人々が追い付いてきたのだと。

この作品、なぜもっと早く注目されなかったのか、と思う反面。今だからこそ良さがわかるのかもしれないと感じました。

もし監督が生きておられたら、いったいどんな作品を作っていたのでしょう。とても残念です。

ひとつだけ言えるとしたら、映像技術の違いなのか人物の表情が乏しいこと。ただそこは声優の方たちが素晴らしくフォローしています。

千代子の声は3世代の3人なのですが、3人の声優さんで年齢の違いをカバーしています。また千代子が恋する正体不明の人の声は山ちゃんこと山寺宏一さん。顔がほぼ出ないのですが、話す声が魅力的で、なるほど恋するわ、という素敵さでした。

アニメの声優をいろんな人が演るようになりましたが、私はこのようなプロの声優の「技」ってアニメの命だと思ってやまない一人です。

ところでこの「千年女優」というタイトル。松本零士先生の「1000女王」へのオマージュなのか、私が勝手にそう感じているだけなのかどちらでしょうか。