2022年 リーアム・ニーソン映画100本目の記念作。フィルム・ノワールの時代から数十年、このジャンルはネオ・ノワールと呼ばれているそうな。
レイモンド・チャンドラーの傑作「ロング・グッドバイ」の続編として本家より公認された小説「黒い瞳のブロンド」を原作に、「クライング・ゲーム」のニール・ジョーダン監督がメガホンをとった。
あらすじ
1939年、ロサンゼルス。私立探偵マーロウ(リーアム・ニーソン)のもとに裕福そうなブロンド美女(ダイアン・クルーガー)が現れ、姿を消した元愛人を捜して欲しいと話す。
依頼を引き受けたマーロウは捜索を進めるうちに、映画産業が急成長するハリウッドの闇に飲み込まれていく。
感想
曲がいい
とにかく曲がいい。オープニングの超かっこいい曲に持っていかれる。
これだよ、これこれ。ハードボイルドだぁって。
時代は1939年。ハンフリー・ボガードがチャンドラーの作品の中でトレンチコートを着て銃を構えていたころ。
この雰囲気に浸りたくて映画館に行った人多いんじゃないかなあ。これだけはスクリーンじゃないと・・ってね。
そうして、最初に曲でやられる。ああこれだ、といい気分になる。
だけどいい気持になり過ぎて、前半はなんだか眠気も少し・・。そうなんです、これが不思議なのですが、決してつまらないわけではなく、快適な映画なのですが、なぜか眠くなることがあります。
このメカニズム、いつか誰かに解明してほしいです。
良くも悪くもないところがいい
さて、マーロウにもどりますが、ストーリーも演技も、特別良かったというわけでもなく悪くも無くといった感じです。
ただただ、曲はおしゃれで、かっこよくて良かった。曲だけもう一度聞きたくて、youtubeでオープニングを繰り返し観てしまいました。
この時代を知っているわけでもないのにね。男が格好つけているのが、なんだか妙にぐっとくる。
この映画のいいところは、ニール・ジョーダンという、かつて名作をいくつも送り出したベテランの監督による、手慣れた展開と、絶妙な画角による、究極のカッコつけが全く自然なところ。もちろんそれは、リーアム・ニーソンの功績でもあります。
できれば10年前にやってほしかった、という思いもありますが、今でなければ出せない味もあるでしょう。臭すぎない、というのがまず一つです。
さらにこの映画、没入しすぎないのです。タバコに火をつけるマーロウを、頬杖をついて観上げている自分、それをまた観ている自分がどこかにいる。そんな入り込み過ぎないところが、最高におしゃれなところです。