2000年 スティーブン・ソダーバーグ監督。ワシントンD・C、カリフォルニア、メキシコのティファナの3つの場所で同時に進行する麻薬がテーマの群像劇。
あらすじ
メキシコの麻薬捜査官ハピエル(ベニチオ・デル・トロ)は大量の麻薬を積んだトラックを押収した。だがそこに連邦警察のサラザール将軍が現れ、てがらを横取りされる。
そしてその直後、将軍はハピエルに麻薬組織の殺し屋を探すように依頼してきた。
ワシントンではロバート(マイケル・ダグラス)が米国麻薬対策本部長に就任することになり、パーティに出席するなど栄誉を受ける。しかしロバートの娘は名門高校に通いながらもクラスメイトとともに麻薬に手を染めていた。
カリフォルニアでは麻薬のおとり捜査をしているモンテル(ドン・チードル)が、麻薬取引をしているエデュアルドを逮捕した。エデュアルドは司法取引を希望し、それによって売人の元締めのカルロスが逮捕された。カルロスの妻のヘレーナ(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)は何も知らず当惑するのだった。
感想
3つの場所でそれぞれ起きている出来事が、時々ふわっと交錯します。
どこの話なのか分かるように、メキシコの画面は黄色い砂っぽい色で統一、ワシントンは青を基調にした画面に(衣装も青い服)、カリフォルニアはビビッドな色使い、というように工夫されています。
麻薬と戦うそれぞれの主人公たちが、いろんなものを犠牲にしながら必死で立ち向かう様子を熱演しています。どの現場の話にも引き込まれます。
中でもベニチオ・デル・トロが演じるハピエルのいるメキシコの状況は非常にハードです。デル・トロが真に迫っており、しかも若くて魅力的です。アカデミー助演男優賞にふさわしい存在感を示しました。
ハピエルが望んだものは、子供たちが夕方でも野球ができるようにグラウンドに照明をつけること、というくだりに胸がジンとします。
ワシントンではなんとなく不満があり麻薬に手を染める裕福な少年たちがいて、メキシコでは売人にならなければ生きていけない子供たちがいる・・。
画面の色を変え、同時に描くことで浮かび上がってくる、どうしようもない問題が私たちをやるせない気持ちにさせるのでした。