1994年作品。リュック・ベッソン監督の名を一躍世界に広めた傑作です。完全版でご覧ください。
あらすじ
レオン(ジャン・レノ)はニューヨークに生きる孤独な男。同じイタリア系のマフィアのボスのトニーから仕事をもらい、殺し屋を生業としていた。
日ごろは子供のようにピュアな人物で、稼いだ金のほとんどはトニーに搾取されていたが、殺し屋としての腕は確かで、仕事は完璧に遂行するのだった。
あるときレオンはマチルダ(ナタリー・ポートマン)という隣に住んでいる少女が、家の前に佇んでいるのに出会う。マチルダは家族から暴力や虐めを受けていて、その日も顔に傷ができていることにレオンは気付いた。
マチルダの父親は麻薬の売人で、麻薬の横領をしていた。しかしそのことが麻薬組織の元締めにバレてしまったため、組織の一味に自宅を襲撃され、たまたま出かけていたマチルダ以外、家族全員殺されてしまった。
レオンの元へ逃れたマチルダは、レオンが殺し屋だと知ると、自分もレオンのように殺し屋になりたいと言い出した。そのかわりレオンには読み書きを教え、家事をすべてやるからと。
それからレオンと一緒にミルクを飲み、ライフルの扱いを覚え、部屋中を掃除する毎日。そんな生活がしばらく続き、2人は心の安らぎを感じるのだった。
そんなある日、マチルダはスタンフィールド(ゲイリー・オールドマン)という麻薬捜査官が密売組織の黒幕だと知る。マチルダは一人でスタンフィールドのもとに侵入してしまった・・。
感想
1994年、この映画を見たときに、今までのギャング映画とは全く違う、と驚いたのは私だけでは無いでしょう。
まずレオンという人物設定が、人は良いがぼうっとした人なのに、殺戮のシーンになると突如キレキレの動きをするという、そのギャップが実におもしろいです。しかもジャン・レノがこの人以外考えられないくらい、レオンそのものです。
マチルダのナタリー・ポートマンも、このとき初めて見ましたが、彼女の持っている雰囲気に「どこからこんな少女を見つけてきたの?」と感心したものでした。
ゲーリー・オールドマンもこの時期こういう役が多かったですが、まさに当たり役。魅力的で、嫌な悪役の極みと言えます。
この作品のすごいところは、麻薬、殺人というおよそ殺伐としたテーマの映画なのに、根底に流れているのは純粋な「愛」だというところです。孤独な暮らしをしていた男・レオンが出会った12歳の少女。どす黒い色の人生が、そこだけパッと光り輝きました。
出会いのシーンで「大人になっても人生はつらいの?」と聞くマチルダに、「つらいさ」とレオンが答えたそのときからです。
「LEON」という題がまたかっこいい。赤字のLEONというロゴとジャン・レノのポスターは当時最高におしゃれでした。そしてスタイリッシュな画面とエリック・セラの音楽、ニューヨークはこんな素敵な街だったのか。画角もパーフェクト。
何か新しい流れに触れている、という予感に包まれていった1994年のあの日から、今も「レオン」は私にとって「殿堂入りした作品」のひとつです。